イグノーベル賞とは?2016年受賞者、歴代受賞一覧

イグノーベル賞という賞があるのをご存知ですか?初めて聞くという人も多いのではないでしょうか。
2016年は2人の日本人が受賞したそうです。果たしてどんな人がどんな内容で賞を取ったのでしょうか?今回はイグノーベル賞とはどういったものなのか、2016年の受賞者、これまでの歴代受賞一覧をご紹介したいと思います。
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イグノーベル賞とは
イグノーベル賞とは、1991年に創設された「人々を笑わせ、考えさせてくれる研究」に対して贈られるノーベル賞のパロディー版のことです。英語表記では「Ig Nobel」と書きます。
ノーベル賞の創設者ノーベルに、否定を表すIgを加え、英語の形容詞「ignoble(イグノーブル)」、意味は「恥ずべき、不名誉な、不誠実な」にかけた造語です。
公式のパンフレットではノーベルの親戚の「Ignatius Nobel(イグネイシアス・ノーベル)」という人物の遺産で運営されているという説明も書かれていますが、”ウソ”です。
すべてがパロディーになっているのがイグノーベル賞なのです。ただ、その研究内容は目を見張るものがあり、ただのパロディーで終わらせることができない賞でもあります。
毎年10月に授与されます。そして毎年テーマがあり、その中から約10部門が用意され、それぞれ賞が贈られます。ノーベル賞と同じカテゴリーの賞もあれば、生物学賞、心理学賞、昆虫学賞など本家ノーベル賞には無い部門も柔軟に追加されます。
2016年のイグノーベル賞は2人の日本人が受賞!
2016年も9月24日にアメリカ・マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大学で授賞式が行われ、今年のイグノーベル賞は10部門に対して授与されました。
その中で日本人がとったのは『知覚賞』です。立命館大学文学部の教授、東山篤規(あつき)氏(65)と大阪大学の教授、足立浩平氏(57)が受賞しました。
研究内容は、『前かがみになって股の間から後ろ方向にものを見ると、実際より小さく見える「股のぞき効果」』です。ハーバード大学で開かれた授賞式で東山篤規氏、股のぞきを実際に披露しながら研究内容を紹介したそうです。
正に「人々を笑わせ、考えさせてくれる研究」といえますね。
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歴代受賞一覧
2016年も日本人の受賞者が出たことで10年連続で、日本人はイグノーベル賞を受賞しています。過去10年間の歴代受賞はどのようなものがあるのでしょうか?
【2007年】
化学賞として、山本麻由氏(日本、国立国際医療センター研究所)による、牛の糞からバニラの香りと味のする物質(バニリン)を抽出した研究。
そして、受賞を記念して、会場のあるケンブリッジ近くのアイスクリーム店で「ヤム=ア=モト・バニラ・ツイスト (Yam A Moto Vanilla Twist)」という新商品を売り出し、授賞式でも振る舞われました。
【2008年】
認知化学賞として、中垣俊之氏(北海道大学/理化学研究所)、小林亮氏(広島大学)、石黒章夫氏(東北大学)、手老篤史氏(北海道大学/Presto JST(科学技術振興機構 (JST) による戦略的創造研究推進事業))、山田裕康氏(名古屋大学/理化学研究所)らが共同で受賞しました。
内容は、「単細胞生物の真正粘菌にパズルを解く能力があった」というものです。
【2009年】
生物化学賞として、田口文章氏(北里大学大学院医療系研究科)が受賞しました。研究には中国人の大学教授も共同で行ったようです。内容は「ジャイアントパンダの排泄物から採取したバクテリアを用いると、台所の生ゴミは質量で90パーセント以上削減できる」というものです。
【2010年】
交通計画賞として、中垣俊之氏(公立はこだて未来大学)、手老篤史氏(北海道大学、科学技術振興機構さきがけ)、高木聖治氏(北海道大学)、三枝哲氏(北海道大学)、伊藤拳太郎氏(北海道大学)、弓木賢二氏(広島大学)、小林亮氏(広島大学、科学技術振興機構さきがけ)が受賞しました。研究にはオックスフォード大学のアメリカ人の教授も関わったようです。
内容は、「粘菌を使って鉄道網の最適な路線を設計できる」というもので、2008年受賞研究の続編です。
【2011年】
化学賞として、今井真氏(滋賀医科大学講師)、漆畑直樹氏、種村秀輝氏(シームス)、田島幸信氏(香りマーケティング協会理事長)、後藤秀晃氏、
溝口浩一郎氏(エア・ウォーター防災)、村上純一氏(琵琶湖病院)が受賞しました。
内容は、「火災など緊急時に眠っている人を起こすのに適切な空気中のわさびの濃度発見と、これを利用したわさび警報装置の開発」というものです。聴覚障害者に有効な、匂いによる警報システムの開発が主な目的です。
【2012年】
音響学賞として、栗原一貴氏(産業技術総合研究所、日本)、塚田浩二氏(お茶の水女子大学、日本)が受賞しました。内容は「自身の話した言葉をほんの少し遅れて聞かせることでその人の発話を妨害する装置、「スピーチジャマー (SpeechJammer)」を発明」というものです。
【2013年】
医学賞として、内山雅照氏(順天堂大学・帝京大学)、平井敏仁氏(東京女子医科大学)、天野篤氏(順天堂大学)、場集田寿氏(順天堂大学)、新見正則氏(帝京大学)が受賞しました。
「心臓移植手術を受けたマウスにオペラを聴かせた効果を評価した研究」という内容のものでした。マウスにオペラ「椿姫」を聴かせたところ、音楽を聴かせたマウスや何も聴かせなかったマウスよりも拒絶反応が抑えられ生存期間が延びたという研究内容でした。
【2014年】
物理学賞として、馬渕清資氏(北里大学)、田中健誠氏(北里大学)、内島大地氏(北里大学)、酒井利奈氏(北里大学)が受賞しました。
内容は、「人間が床に置かれたバナナの皮を踏んでしまった際の、バナナの皮と靴の間の摩擦、およびバナナの皮と床の間の摩擦の大きさを計測」というものです。
【2015年】
医学賞として、木俣肇氏が受賞しました。この研究には他に7人の外国人が関わっていました。内容は「激しいキス、その他の親密な人間相互間の行動の、生物医学的な利益や生物医学的な結果を研究しようとした実験」というものです。
この中で木俣肇氏は、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎の患者らに恋人らと30分キスをしてもらい、キスの前後でアレルギー反応の強度を検査したところ、キスの後ではアレルギー反応が弱まったという研究結果を出しました。
ちなみに都知事選に毎回登場するあの「ドクター中松氏」も2005年栄養学賞を受賞しています。研究内容は「34年間、自分の食事を撮影し、食べた物が脳の働きや体調に与える影響を過去にまで遡って分析し続けている」というものです。
まとめ
いかがでしょうか?笑ってしまう内容とはいえ、真剣な研究結果だということがわかるかと思います。
以上、「イグノーベル賞とは?2016年受賞者、歴代受賞一覧」でした。