フランス大統領選挙2017 日程と候補者一覧 フィヨン氏、ルペン氏の一騎打ちとなるのか?

フランス大統領選挙2017 日程と候補者一覧 フィヨン氏、ルペン氏の一騎打ちとなるのか?

2016年、世界では多くの人々の予想に反する大きな出来事がありました。6月にイギリスのEU離脱、11月にはアメリカでトランプ候補が次期大統領になることが決定されました。そして2017年はEU加盟国で大きな選挙がいくつかあります。今回はその中からフランス大統領選挙の日程予想や候補者についてご紹介します。

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2017年フランス大統領選挙の日程

フランスの政治体系は、フランス革命で王制が打倒され1792年に共和政へ移行しました。これを第一共和政といい、その後、ナポレオンが皇帝につくことによって一旦共和政が途切れます。以降、現在に至るまで王政復古や第二帝政はありましたが、1870年以降は共和政が定着してします。そして、2つの世界大戦や政治システムの変更などにより現在は第五共和政となり、大統領は国民による直接普通選挙で選ばれます。
初代大統領は第二共和政のルイ=ナポレオン・ボナパルト、あの皇帝ナポレオンの甥でした。現職のオランド大統領は第24代です。

フランス大統領は任期5年(2000年9月の国民投票により決定、それ以前は任期7年)で、再選についての規定はありません。
国民による直接普通選挙では、第一回目の投票で過半数を獲得しなければ、2週間後に上位2名による決選投票が行われ、より多く得票した者が当選となります。
ちなみに、1965年以降2012年までの大統領選挙において、第一回目の投票で決定したことは一度もありません。(1962年まではアメリカのように選挙人団を通じた間接選挙)

さて、2017年に実施されるフランス大統領選挙の日程はまだ告知されていませんが、おそらく第一回目は「4月」、第二回目の決選投票は「5月」と見られています。
詳細が発表され次第、こちらも更新したいと思います。

候補者とそれぞれの支持率

フランスには与党で左派の『社会党』、最大野党で中道右派の『共和党』のほか、最近注目されている極右政党の『国民戦線』などさまざまな政党があります。
それぞれの主要な候補者をご紹介します。

【フランソワ・フィヨン】
(出典 ウィキペディア)

生年月日:1954年3月4日(62歳)
所属政党:共和党
2007年フランス大統領選挙では、ニコラ・サルコジの選挙参謀を務め、サルコジの下、首相に就任しています。
2013年春の叙勲で、旭日大綬章を授与された直後、ツイッター上で2017年フランス大統領選挙への出馬表明し、所属党派内からは『党の団結を乱す身勝手な言動』として批判を受けたこともあります。
2016年11月、フランス共和党を中心とする中道右派陣営の大統領候補予備選挙でアラン・ジュペ、サルコジ元大統領を下し、中道右派陣営の候補者として2017年フランス大統領選挙に挑戦することが有力となりました。

【マリーヌ・ル・ペン】
(出典 ウィキペディア)

生年月日:1968年8月5日(48歳)
所属政党:国民戦線
2011年1月16日、国民戦線の党大会にて新党首に選出されました。これにより、2012年の大統領選挙では、国民戦線初の女性候補者ということからフランス国内で大きな話題を呼びました。
世論調査において、2012年大統領選挙の第1回投票では第1位になるとの予測も出されていました。特に若年層からの人気が高く、当時現職だったサルコジ大統領はル・ペン氏を意識して政策主張を右寄りにさせるなど、大きなインパクトを与え、実際第1回投票では3位に食い込みました。この時の得票率17.90%は、国民戦線の大統領候補者としては最高記録でした。

【ジャン=リュック・メランション】
(出典 ウィキペディア)

生年月日:1951年8月19日(65歳)
所属政党:社会党(1977年〜2008年)、左翼党(2008年〜現在)
2012年フランス大統領選挙では、フランス共産党・左翼党の合同組織「左翼戦線(英語版)」として立候補しました。
事前の世論調査では第1回投票の上位2名が進むことができる決選投票への進出はないとされていましたが、一時は第1回投票で3位となったマリーヌ・ル・ペンに迫る支持を集めました。結果としてはマリーヌ・ル・ペンに倍近い得票差をつけられ第4位で終わっていますが、2017年も有力候補として名前が上がっています。

【エマニュエル・マクロン】
 (出典 ウィキペディア)

生年月日:1977年12月21日(39歳)
所属政党:社会党 (2006年〜2009年)、無所属 (2009年〜現在)
今回の候補者の中で最も年齢が若い政治家で経済相を務めていましたが、2016年8月30日に経済相を辞任しました。辞任の理由について、フランスの景気低迷や社会的な格差拡大に対し、独自の解決策を打ち出せるようにするためと説明しています。
経済界からも厚い支持を集める左派閣僚として注目されており、2016年11月16日、正式に2017年度大統領選への出馬を表明しました。

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2017年のフランス大統領選の得票率を予想した世論調査が2016年10月に行われました。

〇オランド(社会党)、ジュペ(共和党)が出馬の場合
1位 ジュペ(37%)  2位 ルペン(29%) 3位 メランション(12.5%) 4位 オランド(11%)

〇オランド(社会党)、サルコジ(共和党)が出馬の場合
1位 ルペン(27.5%) 2位 サルコジ(22%) 3位 メランション(14%) 4位 オランド(13%)

〇マクロン(社会党)、ジュペ(共和党)が出馬の場合
1位 ジュペ(33%) 2位 ルペン(26%) 3位 メランション(12%) 4位 マクロン(11%)

〇マクロン(社会党)、サルコジ(共和党)が出馬の場合
1位 ルペン(25%) 2位 サルコジ(20%) 3位 マクロン(14%) 4位 メランション(12%)

〇モントブール(社会党)、ジュペ(共和党)が出馬の場合
1位 ジュペ(39%) 2位 ルペン(29%) 3位 メランション(13%) 4位 モントブール(9%)

〇モントブール(社会党)、サルコジ(共和党)が出馬の場合
1位 ルペン(28%) 2位 サルコジ(22%) 3位 メランション(15%) 4位 モントブール(10%)

上の世論調査の段階では名前が挙がっていましたが、2016年12月に現職のオランド大統領は大統領選挙に出馬しないことを明らかにしました。就任当初は「失業率の改善」「景気回復」を掲げましたが、この公約は高所得者に対する大幅増税だったため、企業や富裕層の協力が得られずに失敗ました。
このため所属する社会党の候補者は大統領選挙の決選投票に残ることもできないと予想されています。

また、サルコジ前大統領も出馬の意思を示していましたが、2016年11月に行われた中道右派政党の共和党内の候補者を選出する予備選でフランソワ・フィヨン氏に負け、3位となり敗退しました。この結果を受けてサルコジ前大統領は政界引退を発表しました。
これにより突然名前が出てきたフィヨン氏の今後の動きも注目です。

今回の選挙で一番注目されているのが、どの組み合わせでも2位以内に入る得票率が予想されているマリーヌ・ルペン氏です。所属するのは極右政党「国民戦線」で、前回2012年の大統領選挙の第一回投票でも10位中3位に入っています。
ルペン氏の主張は妊娠中絶や同性愛の容認、フランス社会にふさわしいイスラムを求める(ムスリムの排斥ではない)、反EUなどがあります。近年、ギリシャショックや移民政策の反動、そして2015年におきたフランスのテロ事件などの背景があり、フランス国内で支持を伸ばしているようです。
この世論調査のまま支持を集めれば、第二回目の決選投票の一角はルペン氏になる可能性は非常に高いでしょう。

まとめ

フランスの大統領選挙は第一回目の投票で過半数を獲得しなければ、2週間後に上位2名による決選投票が行われて決まります。現在、極右政党・国民戦線のルペン氏が決選投票の一角になると有力視されています。
日程はまだ決まっていませんが、おそらく第一回が2017年の4月、第二回目は5月と見られています。EUの今後にも影響を及ぼす可能性のあるフランスの大統領選挙は注目です。

以上、「フランス大統領選挙2017 日程と支持状況。フィヨン氏、ルペン氏の一騎打ちとなるのか?」でした。

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