子供の貧困対策 子供基金はなぜ集まらないのか

子供の貧困対策 子供基金はなぜ集まらないのか



2015年10月に安倍首相の肝入りで導入されたのが『子供の未来応援基金』という子供基金です。様々な理由で貧困状態に陥っている子供達が、自分の未来を明るく見通せるようにするために設立された貧困対策の基金です。ですがこの基金が運用されてから予定通り寄付金が集まっていないことが明らかになってきました。
今回はこの子供基金の目的や内容となぜ寄付が集まらないのかを分析してみます。

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子供の貧困対策 子供の未来応援基金とは?

そもそもこの『子供の未来応援基金』とは具体的にどういう内容の基金なのでしょうか?
基金の資金調達から活用までの流れは大まかに以下の通りです。

① 日本財団が窓口となり社会福祉法人、企業、大学等学校法人、個人から寄付を集める
② 企業、NPO、教員OB、主任児童委員などがその地域で必要な支援プログラムを作る
③ プログラムの内容により日本財団より寄付金の一部が助成金として提供される(今秋より開始予定)

そしてプログラムの中の支援内容は大まかに以下の通りです。

○教育支援:保育確保支援、幼児教育支援、学校教育の就学支援、高等教育保証のための各種支援など
○経済支援:母子父子寡婦福祉資金、児童扶養手当の支給、養育費及び面会交渉に関する相談など
○生活支援:ひとり親家庭に対する総合的な支援、待機児童解消加速化プラン、養護施設の体制整備など
○就労支援:親の就労支援、生活困窮者自立支援、ひとり親家庭の在宅就業支援など

これらの支援内容がさらに細かく分かれていて、その一つ一つをプログラムの発案者、発起人などが運用する仕組みになっています。これが『子供の未来応援基金』の全体像です。

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なぜ寄付は集まらないのか

日本の未来を担う子供達になるべく格差なく教育を受けられる機会を提供しようという目的は立派で、ぜひ推進されるべきなのですが、実態はうまく寄付金は集まっていません。
この基金の創設当初の寄付金目標は1億円でしたが、5ヶ月経過した結果は2,000万円と5分の1にとどまっています。この実態に3月になって民主党の蓮舫議員が2,000万円の寄付金を集めるのに広報費などで2億円使っている。であれば、この2億円を直接支援の費用にまわした方がよかったのではないか、という答弁を行いました。
ちなみに広報に使ったとされる2億円の内訳は、広告代理店への支払いに6,500万円、ホームページ作成に3,000万円、インターネット広告代金に7,000万円使ったのだそうです。

今、ネットやニュースでは「保育園落ちた 日本死ね」というブログ記事が注目され話題になっています。この寄稿者に賛同している人達からすると、一体政府はどこに税金を使っているんだ!?と言いたくなるのではないでしょうか。

では、なぜ寄付金は集まらないのでしょうか?理由は政府が当初寄付金を出すと考えていた経済界、主に経団連が「政府が税金を使って取り組むべき問題」として寄付に消極的だったからです。
その一方でアベノミクスの恩恵を受けた企業から自民党支部への政治献金は、2014年は前年比7億6,000万円も増えたそうです。このことから企業からすると「献金を沢山払ったのだから、その中から出してくださいよ」、もしくは「我々は間接的に払っているのだから、税金からまかなってください」と考えた可能性があります。

この実態を受けて一億総活躍相の加藤大臣は首相官邸から叱責を受けたようで、経団連への圧力を強めたと見られています。これに伴い2月から協力体制を取り付けているとのことで、政府は新年度をむかえる4月には目標を達成できると考えているようです。

企業側は献金用として取っておいたお金を寄付金にまわすだけではないかという憶測もあるので、献金の前年比が下がったらそういうことなのかもしれません。

寄付という運用方法のメリット・デメリット

では、次になぜ「基金」という仕組み、運用方法を適用しているのでしょうか。実際国会議員の中からは全て税金で賄うべきじゃないのかという声もあるのにです。基金と税金それぞれのメリット、デメリットはなんでしょうか?

【基金のメリット】
・寄付という形を取ることで子供の貧困問題を国民に広く知ってもらうことができる
・それぞれの支援母体が自分達の地域に根ざした最適の支援方法を取りやすい

【基金のデメリット】
・寄付では強制力がないのでお金が集まらない
・寄付を取りまとめる団体(この場合、日本財団)の人件費などの運用費がかかる

【税金のメリット】
・政府内での決定だけで支援金が確保できる
・税金なので、一定の強制力がある

【税金のデメリット】
・国から地方自治体に管理を割り振ったとしてもきめ細かいコントロールがしにくい
・予算編成によって廃止されたり減額されたりする可能性がある

というようにいずれも一長一短であることがわかります。特に税金のデメリットの予算編成で廃止や減額は、別記事で書いたように政治家の票確保のため、人口の多い高齢者に手厚い社会保障を提供する必要があるので十分考えられます。逆に言うと今でもすでに税金では捻出できないから、寄付でないと運用できないとも言えます。

アベノミクス第2ステージで掲げられた新3本の矢「夢をつむぐ子育て支援」の目玉である子供の貧困対策。
勉強したいと思う子供が勉強できて、立派になっていずれ日本を支えてくれるための施策であればぜひ推し進めてほしいですよね。政府はアベノミクスで恩恵をうけた輸出企業だけに寄付を頼るような運営にせず、しっかり国民に意義や中身の説明をして認識してもらえば、もう少し寄付金も集まる気がします

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